このページでは、極めて古い、例えば江戸時代のお墓の無縁墳墓改葬について検討します。
現在の法律に従えば、一般の無縁墳墓改葬許可申請を行って無縁墳墓すべきですが、例えば江戸時代のお墓についてなにか立法的な解決ができないかを検討するページです。
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集落の共同墓地、公営墓地の中には極めて古いお墓で、使用者も故人もなにもわからない事案も少なくない
集落や地区の共同墓地
寺院墓地、お寺の墓地、あるいは、公営霊園や、民営の霊園が現在では主流になっています。
しかし、このようなお墓が主流になったのは、第二次世界大戦後、むしろ高度成長期後のここ数十年の歴史に過ぎません。
それ以前の日本では、寺院墓地もありましたが、それぞれの集落や地区が使用する「集落や地区の共同墓地」が多数見られた歴史があります。
このような「集落や地区の共同墓地」は現在でもまだ多数残されています。
また、現在は市町村の公営墓地として扱われている墓地も、歴史をたどるとこのような「集落や地区の共同墓地」だった場合も少なくありません。
「集落や地区の共同墓地」を、市町村が管理する墓地として委譲を受けた公営墓地も多数存在しています。
法律の不遡及の原則
さくら行政書士事務所でも多数の墓地に足を運んでいますが、歴史の古い「集落や地区の共同墓地」では江戸時代の「安政」のような年号が刻まれている墓石も目にします。
本来は墓地管理者は、帳簿を用意してお墓の使用者や故人の情報を記録しておかなければなりません。
しかし、このような墓地に関する法令ができるのはもちろん全て明治維新後のことで、江戸時代のお墓には法令を適用することはできません。
このように、法令を制定した日より遡って適用することはできないのが、法律学の大原則の一つです(法律の不遡及の原則)。
歴史の古い集落や地区の共同墓地では、資料が無いことも少なくない
このような歴史の古い「集落や地区の共同墓地」や「集落や地区の共同墓地」を源流にもつ公営墓地では、お墓の使用者や故人の名前も、本籍地も住所もわからない事案が多く見られます。
現在の共同墓地の管理人の方とお話しをすると、「使用者も故人も何もわからないで困っている」無縁墳墓がかなりの数で存在しています。
このような場合でも、行政法上は無縁墳墓改葬手続きを行い、無縁墳墓改葬許可を得る必要があります。
民事方、私法上は権利者がいないことを確定する必要があります。
極めて古いお墓、例えば江戸時代のお墓については立法的な解決ができないか
歴史の古い集落や地区の共同墓地の実態
実際問題として、江戸時代のお墓が無縁化されずにいることは少数です。
もちろん、江戸時代より続く旧家がきちんとお墓参りを続け、お墓を守っている事案もたくさんあります。
他方、歴史の古い集落や地区の共同墓地では、お墓参りの形跡も何も無い江戸時代の墓石が今も残されている事例も多く存在しています。
例え江戸時代の墓石であっても、集落や地区の共同墓地の管理人が無許可で墓石を整理することはできません。
ですが、このような古い墓石については無縁墳墓改葬手続きを簡素化できないでしょうか。
1932年(昭和7年)の「墓地及埋葬取締細則」
ここで、日本の墓地についての法令で、最も始めに無縁墳墓改葬について規定したのが、1932年(昭和7年)の「墓地及埋葬取締細則」(1932年(昭和7年)10月1日警視庁令33号)です。
法令番号が「警視庁令33号」になっていることからもわかるように、当時、墳墓の改葬を許可する権限があったのは「警察署」でした。
制度は時代と共に変遷することを改めて感じます。
現在の感覚で言うと警察署の行政業務の範疇からは外れているように思います。
さて、この「墓地及埋葬取締細則」(1932年(昭和7年)10月1日警視庁令33号)第13条に注目に値する規定が存在します。
「墓地及埋葬取締細則」(1932年(昭和7年)10月1日警視庁令33号)
第13条
墓地及埋葬取締細則
明治元年以前ノ死亡者又ハ行旅死亡人其ノ他特殊ノ事由アル者ノ改葬ニ係ルトキハ墓地所在地所轄警察署ノ許可ヲ受ケ前二条ノ規定ニ依ラサルコトヲ得
昭和時代の表記の法令ですので、法律に慣れない一般の方には読むのも困難だと思います。
簡単に要約すれば、「明治元年以前の死亡者の改葬については、墓地所在地の所轄警察署の許可を受けるだけでよい。」とするものです。
改葬を許可する権限のある所轄警察署の許可は必要としながらも、無縁墳墓改葬許可特有の公告は不要としたことが大きな特徴です。
現代における立法への提言
この「墓地及埋葬取締細則」はもちろん廃止されていますし、現代に使用することはできません。
ですが、この法令の考え方である「江戸時代の死亡者については、公告を省略して改葬許可を受けられる」という観点は現代にも適用できるように思います。
歴史の古い集落や地区の共同墓地が今なお多数存在し、共同墓地の管理者の方が無縁墳墓改葬許可申請に難儀している現状、このような特例を立法で解決することも一つの方法であるとさくら行政書士事務所では考えます。
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