承継人調査

 このページでは、無縁墳墓改葬、無縁となった墓地の改葬での「承継人調査」の必要性と有効性を検討しています。

 無縁墳墓改葬、無縁となった墓地の改葬をする場合、墓地管理者が「お墓の承継人を調査すること」は必要でしょうか。

 また、墓地管理者が「お墓の承継人を調査すること」は有効でしょうか。

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お墓の承継とは

 お墓の相続については、一般的な財産とは異なり特別な相続をすることが法律上定められています。

 民法(1896年(明治29年)法律第89号)の条文を見てみましょう。

民法(1896年(明治29年)法律第89号)

第897条第1項
 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。

第2項
 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=129AC0000000089#3836

 民法は極めて条文の数が多い法律ですが、後半、第897条にお墓の相続のルールが定められています。

 このような、お墓などの相続を民法上の用語から「祭祀承継」と呼ぶことも多いです。

 この民法第897条の内容については別のページでまとめます。

 以下では、この規定を前提に「無縁墳墓改葬、無縁となった墓地の改葬をする場合の、墓地管理者がお墓の承継人を調査する必要性と有効性」について検討します。

墓地管理者がお墓の承継人を調査する必要性

 無縁墳墓改葬において、墓地管理者は無縁墳墓改葬しようとするお墓の承継人を調査する「必要性」があるでしょうか。

 言い換えれば、無縁墳墓改葬において、墓地管理者はお墓の承継人を調査しなければ、後で責任を問われる場合があるでしょうか。

 無縁墳墓改葬における承継人調査の必要性については様々な意見や見解がありますが、さくら行政書士事務所では、墓地管理者がお墓の承継人を調査する「必要性」は無いと考えています。

 なぜなら、民法第897条の規定に従って墓地は承継されますが、民法第897条の承継人は相続人であることを必要としません。

 さらに言えば、血縁関係や婚姻関係を必要としません。

 例えば、婚姻関係ではなくいわゆる内縁関係でもお墓の承継人になれます。

 まず、内縁配偶者をお墓の承継人とすることを認めた裁判例があります(高知地方裁判所・1996年(平成8年)10月23日判決・判例タイムズ944号238ページ。大阪高等裁判所・1949年(昭和24年)10月29日決定・家庭裁判月報2巻2号15ページ)。

 被相続人(亡くなった方)が所有していた祭祀のための財産を事実上承継していた被相続人の内縁配偶者の孫をお墓の承継人とした審判例があります(高松家庭裁判所・1992年(平成4年)7月15日審判・家庭裁判月報45巻8号51ページ)。
 「内縁配偶者の孫」は極めて遠い関係です。

 複数の祭祀主宰者がいることを認める裁判例は多数あります。

 例えば、東京高等裁判所・1994年(平成6年)8月19日決定(判例タイムズ888号225ページ)は、「先祖代々のお墓」は被相続人の先妻の子、被相続人のお墓は後妻、としました。

 さらに、民法の学説上は、自然人(法律上、生きている人間のことを「自然人」と呼びます。)ではなく法人でも構わないとされます。

 民法第897条の規定がお墓の承継人の範囲を定めていない以上、そして、裁判例や民法上の学説のように祭祀承継人が「一人に確定的に定まる」わけではない以上、仮に墓地管理者に「お墓の承継人を調査する必要がある」と言っても、調査する範囲が確定できません。

 よって、さくら行政書士事務所としては、無縁墳墓改葬において、墓地管理者は無縁墳墓改葬しようとするお墓の承継人を調査する「必要性」は無いと考えます。

 従って、無縁墳墓改葬において、墓地管理者がお墓の承継人を調査しなかったことを理由に、後で責任を問われるべきではないと考えます。

 なお余談ですが、共同墓地の管理者、つまり墓地管理者をお墓の承継人とした審判例もあります(福岡家庭裁判所柳川支部・1973年(昭和48年)10月11日審判・家庭裁判月報26巻5号97ページ)。

墓地管理者がお墓の承継人を調査する有効性

 無縁墳墓改葬において、墓地管理者は無縁墳墓改葬しようとするお墓の承継人を調査する「有効性」があるでしょうか。

 言い換えれば、無縁墳墓改葬において、墓地管理者はお墓の承継人を調査することは「有効性のある手段」でしょうか。

 無縁墳墓改葬におけるお墓の承継人を調査する「有効性」についても色々な意見や見解がありますが、さくら行政書士事務所では、「墓地管理者がお墓の承継人を調査する有効性」は「あまり高くないけれど、少しはある。」と考えています。

 さきほどご説明したとおり、民法第897条はお墓の承継人となる人の範囲を定めていませんから、調査する範囲は一切確定できません。

 とはいえ、現実論としては、ひとまず、亡くなった「墓地使用者のお子さん」を調査するのは一定の有効性があるでしょう。

 お子さんに調査して、お子さんが承継人になっていることがわかるかもしれません。

 お子さんが承継人になっていなくても「みんなで話し合って、内縁配偶者を墓地承継人に決めた。」という情報が得られるかもしれません。

 お子さんが承継人になっていた場合、「もうお墓は使わないので墓じまいして改葬したい」という話しになるかもしれません。

 もちろん、この場合には、無縁墳墓改葬ではなく、通常の改葬、墓じまいの流れに進んでいくことになります。

 その意味で、亡くなった墓地使用者のお子さんを調査するのは調査範囲も広範になりすぎませんし、得られる情報もある程度の期待はできますから、「一定の有効性はある」と考えます。

 また、いずれにしても、法律上の無縁墳墓改葬許可を得るまで、官報への掲載や立札の掲示から最低一年間は待たなければなりません。

 一年間は待つ必要があるわけですから、亡くなった墓地使用者のお子さんくらいは調査するのも時間の使い方として有効でしょう。

戸籍調査による無縁墳墓の縁故者調査の限界

 行政書士や弁護士などは、職務上の権限として、受任した事件の解決に必要な範囲で、どなたのものであっても戸籍を取得することができます。

 このような行政書士や弁護士などの戸籍調査を「戸籍の職務上請求」と呼ぶことがあります。

 この行政書士や弁護士の「戸籍の職務上請求」により、市町村長は照会された人の戸籍を開示します。

 ですが、行政書士や弁護士の「戸籍の職務上請求」によって戸籍を取得したとしても、「お墓の縁故者」は法律上一切リンクしていませんから、「お墓の縁故者」を見つけることはできません。

 このような観点からは、戸籍調査による無縁墳墓の縁故者調査はほとんど有効性がありません。

祭祀承継人の調査は戸籍や住民票をたどって行うので、国家資格者である行政書士に依頼するのが現実的

 このような亡くなった墓地使用者のお子さんを調査する場合、具体的には、亡くなった墓地使用者の戸籍を入手し、そこからたどってお子さんの戸籍につなぎ、戸籍の付票から住所を調べることになります。

 この戸籍や住民票の取得は墓地管理者自身もできる可能性はありますが、他人の戸籍や住民票を取得することになりますのでかなり厳しく市区町村に用途を問われることになります。

 現実的には、国家資格者である行政書士に依頼するのが有効でしょう。

 行政書士は、国家資格者として戸籍や住民票を自由に取得することができます。

 このような国家資格者による戸籍や住民票の取得を「職務上請求」と呼びます。

 もちろん、「職務上請求」という名前のとおり、受任した業務に必要な範囲でしか取得することはできませんが、業務に必要な範囲であれば、国家資格者として戸籍や住民票を自由に取得することができます。

さくら行政書士事務所の、改葬、墓じまい、無縁墳墓改葬などの代理、代行のご案内

大学院レベルの「墓地行政法規」の法律知識と、圧倒的多数の代理、代行の受任実績をもつ、申請実務に精通した専門の行政書士事務所

 さくら行政書士事務所の最大の特色は、「大学院レベルの法律知識」と、「通算400件以上の改葬、墓じまいなどの代理、代行を受任してきた実績」とで、「法律知識」と「申請実務」のどちらにも精通した専門の行政書士事務所であることです。

大学院レベルの「墓地行政法規」の法律知識をもつ専門の行政書士事務所

 大学および大学院で法律学を専攻した行政書士が、改葬、墓じまい、無縁墳墓改葬、海外・日本国外にあるご遺骨を日本に移す手続きなどを代理、代行します。

 大学院レベルの「墓地行政法規」の法律知識をもつ専門の行政書士事務所は日本全国でもほとんど無いと思います。

 失礼を承知で率直に申し上げると、市区町村のお墓、墓地、改葬などを担当されている方よりも専門知識があります。

 実際に、市区町村のお墓、墓地、改葬などを担当されている部署のご相談をいただき、回答や提言をすることも少なくありません。

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 もちろん、 これだけハイレベルの「墓地行政法規」の法律知識をもつ石屋さん、石材店さんは日本全国にほぼいらっしゃらないと思います。

圧倒的多数の代理、代行の受任実績をもつ、申請実務に精通した専門の行政書士事務所

 さくら行政書士事務所は、改葬、墓じまい、お墓の引っ越し、お墓の移転、無縁墳墓改葬、日本国外にあるご遺骨を日本国内に移す手続きなど「墓地行政法規」(墓地、埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)などの法律)が専門の行政書士事務所です。

 2006年8月の開業以来、通算400件以上の申請の代理、代行を受任してきました。

 今でこそ、少しずつ、改葬、墓じまい、お墓の引っ越し、お墓の移転、無縁墳墓改葬、日本国外にあるご遺骨を日本国内に移す手続きなどの代理、代行を受任する行政書士事務所も出てきましたが、さくら行政書士事務所が開業した2006年には、インターネットで日本中を探しても、改葬、墓じまい、お墓の引っ越し、お墓の移転、無縁墳墓改葬、日本国外にあるご遺骨を日本国内に移す手続きなど「墓地行政法規」(墓地、埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)などの法律)が専門の行政書士事務所は日本全国でも3つくらいでした。

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「大学院レベルの法律専門知識」と「圧倒的多数・16年以上の実務経験」

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衆議院議員の特別顧問を務める行政書士事務所

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 衆議院議員の特別顧問ですので、国会にも、衆議院議員会館にも自由に出入りができます。

 また、衆議院議員の特別顧問ですので、必要に応じて、厚生労働省、総務省などの中央官庁のキャリア官僚と墓地、埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)や行政手続法などについての質疑をすることができます。

 「質問主意書」という国会議員だけが国会法に基づいて行うことができる特別な質問を行うこともできます。

 さらには埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)の改正にも関与できます。

 衆議院議員の特別顧問を務める行政書士事務所は、恐らく、日本全国でもさくら行政書士事務所だけだと思います。

代理、代行の受任地域

 日本全国、全ての地域、都道府県で直接、受任します。

 おかげさまで開業以来、北は北海道から南は沖縄県まで、日本全国で代理、代行のご依頼をいただいております。

行政書士以外が改葬、墓じまいを代理、代行をすることはできません

 行政書士ではない一般の会社が、改葬許可申請書などの作成を代行することは、行政書士法などの法律で禁止されている違法行為であり、懲役刑や罰金刑を含む刑罰の対象となります。詳細はこちらのページをご参照ください。

改葬、墓じまいの代理、代行の資格

 例えば石材店や、墓じまい代行会社、墓じまい代行業者などが、改葬許可申請や墓じまいに必要な申請の代理、代行をすることは行政書士法違反という犯罪になり、懲役刑を含む刑罰の対象となります。

 ご依頼者さまにもご迷惑がかかる恐れがございますので、代理、代行は行政書士をご利用ください。

離檀料の交渉や、訴訟、裁判

 現在のお墓が寺院墓地、お寺の墓地の場合、「高額な離檀料を請求されないか」「高額な離檀料を請求されたらどう対応したらいいか」とお悩みの方もいらっしゃると思います。

 相手がいることですので「100%」と断言することはできませんが、改葬、墓じまいを法律職、国家資格者である行政書士に代理、代行を依頼することで、高額な離檀料を請求されるリスクは確実に減少できます。

 また、離檀料の交渉の代行をすることは弁護士にしかできません。

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 高額な離檀料を請求されたら、というご心配が減少するのも国家資格者である行政書士に改葬、墓じまいの代理、代行を依頼する大きなメリットです。

 もちろん「墓じまい代行業者」「墓じまい代行会社」ではこのようなことはできません。

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