無縁墳墓改葬と裁判所

 このページでは、無縁墳墓改葬、無縁墓の整理、無縁化した墓地の改葬について、裁判所を利用して進める方法についてご説明しています。

 予め申し上げますが、このページも、民法と行政法、特に相続法の法律知識が無い方には難しい内容です。

 ですが、無縁墳墓改葬、無縁墓の整理、無縁化した墓地の改葬をトラブルなく行うためには必ず押さえておかなければならない法律知識です。

 できる限りわかりやすく法律を説明したいと思いますので、お付き合いいただければと思います。

無縁墳墓改葬、無縁墓の整理、無縁化した墓地についてポイントの確認

 改めて、無縁墳墓改葬、無縁墓の整理、無縁化した墓地の改葬についてポイントを整理します。

無縁墳墓の中のご遺骨を改葬するには「無縁墳墓改葬許可」が必要です

 まず、無縁となったお墓、いわゆる無縁墳墓の中にある故人のご遺骨を他の場所に改葬するためには、市区町村長の「無縁墳墓改葬許可」が必要です。

 「無縁墳墓改葬許可申請」の詳細や、無縁墳墓改葬許可申請の進め方や流れ、「無縁墳墓改葬許可申請」に必要な書類や資料などについては、こちらのおページをご参照ください

 なお、この無縁墳墓改葬許可は、同じ墓地や霊園の中での移動の場合にも必要でした。

 例えば、今までは個別の家のお墓をもっていたけれど、同じお寺の墓地の合葬墓、永代供養墓にご遺骨を移す場合にも無縁墳墓改葬許可が必要となることを改めてご確認ください。

「無縁墳墓改葬許可」は行政法上の許可であり、当事者間の民事上の法律関係には一切影響しません

 そして、次のポイントは「無縁墳墓改葬許可」の法律上の意味と内容です。

 市区町村長の「無縁墳墓改葬許可」の法律上の意味は、行政法の改葬許可に止まるもので、当事者間の民事上の法律関係には一切影響しません。

 「無縁墳墓改葬許可」の法律上の意味は行政上の改葬許可に止まるもので、当事者間の民事上の関係には一切影響しないことについては、こちらのページをご参照ください

 ですから、「無縁墳墓改葬許可」を市区町村から得ても、これによってできることは、「無縁墳墓の中にあるご遺骨を、他の場所に改葬すること」だけです。

 ここが重要なポイントです。

 市区町村の「無縁墳墓改葬許可」を得ても、その無縁となった墓石を解体撤去したり、無縁化した墓地を更地にしたりする工事は一切できません。

 なぜならば「無縁墳墓改葬は当事者間の民事上の法律関係には一切影響しないから」です。

 当事者間の民事上の法律関係に一切影響、変動をもたらしていない以上、無縁となった墓石を解体撤去したり、無縁化した墓地を更地にしたりする工事は一切できません。

 万が一、無縁となった墓石を解体撤去したり、無縁化した墓地を更地にしてしまったりした場合には、民法上の不法行為責任や債務不履行責任を負い、損害賠償の対象になります。

 繰り返しになりますが、無縁墳墓改葬許可を得ても、無縁となった墓石を解体撤去したり、無縁化した墓地を更地にすることはできないし、万が一行ってしまった場合には、損害賠償の対象となることを改めてご確認ください。

無縁墳墓の墓石を解体撤去し、無縁化した墓地を更地にするためにはどうしたらいいのか

 では、無縁墳墓の墓石を解体撤去し、無縁化した墓地を更地にするためにはどうしたらいいのでしょうか。

 無縁墳墓改葬を検討する墓地管理者の方、例えばお寺のご住職や、霊園の管理者の方、共同墓地の管理者の方は、「無縁墳墓の墓石を解体撤去し、無縁化した墓地を更地にしたい。」というのが主な目的であるはずです。

 もちろん故人のご遺骨を失礼に扱うことはできませんが、故人のご遺骨は合葬墓などに移して丁寧に供養を行うことはもちろん、主たる目的は「無縁墳墓の墓石を解体撤去し、無縁化した墓地を更地にする。」ことでしょう。

 先ほどの確認ですが、無縁墳墓の墓石を解体撤去し、無縁化した墓地を更地にするためには、「当事者間の民事上の法律関係」を解消することが必要となりました。

 無縁墳墓の墓石を解体撤去し、無縁化した墓地を更地にするには「当事者間の民事上の法律関係」を解消することが必要であり、そのためには墓地使用契約書や墓地使用約款に定めておくのが最善の方法であると考えられることについてはこちらのページをご参照ください

 しかし、古いお寺や共同墓地などでは、墓地使用契約書や、墓地使用約款、墓地使用規則などは定めていない、というお墓もたくさんあると思います。

 このようなお墓では、「当事者間の民事上の法律関係」を解消することができず、無縁墳墓改葬ができないのでしょうか。

 このページでは、このような、墓地使用契約書や、墓地使用約款、墓地使用規則などは定めていない、というお墓について「当事者間の民事上の法律関係」を解消し、トラブル無く無縁墳墓改葬を進める方法をご説明します。

 確認が長くなってしまいましたが、ここから本論に入っていきたいと思います。

裁判所を利用して、無縁墳墓改葬、無縁となった墓地の整理を行う

 墓地使用契約書や、墓地使用約款、墓地使用規則などは定めていない、というお墓について「当事者間の民事上の法律関係」を解消し、トラブル無く無縁墳墓改葬を進めるためには法律、民法の規定によって行うしかありません。

 具体的には、裁判所を利用して無縁墳墓改葬、無縁となった墓地の整理を行います。

 以下では、この裁判所を利用した無縁墳墓改葬、無縁墓の整理、無縁となった墓地の整理についてご説明していきます。

 法律、民法の知識が無い方には難しい内容になりますが、できる限りわかりやすく説明したいと思います。

通常の無縁墳墓改葬と同じように、無縁と思われるお墓について無縁墳墓改葬する旨を公告する

 まずは、一般の無縁墳墓改葬、無縁墓の整理と同じように、無縁と思われるお墓について無縁墳墓改葬する旨を官報に掲載し、また、お墓の見やすいところに立札を設置しましょう。

 そして、一年間は無縁となったと思われるお墓に、誰かがお参りに来ている様子が無いかを記録しておきましょう。

 また、ご遺骨の改葬については一般の無縁墳墓改葬許可申請を行いますので、通常と同じ流れになります。

 ここまでは、一般の無縁墳墓改葬許可申請をする場合と同じ流れです。

民法第897条第2項の『相続人の不存在』の規定に基づいて、墓地経営者が家庭裁判所から祭祀承継者の指定を受ける

 ここで一年間が経過してもお墓の相続人が現れず、かつ、そのお墓の所有権を有していると思われる人がわからず、「当事者間の民事上の法律関係」を解消することができない場合に以下の流れに進みます。

 最初に端的に結論を整理すると「民法第897条第2項の『相続人の不存在』の規定に基づいて、墓地経営者が家庭裁判所から祭祀承継者の指定を受ける。」ことによって、無縁墳墓改葬、無縁となった墓地の整理を行うことができます。

墓地経営者または墓地管理者が、家庭裁判所に相続財産管理人の選任を請求する

 お墓の相続人がいることが明らかでないときには、相続財産であるお墓はそれ自体が法人とされて、その管理が開始されます(民法第951条)。

 ここで相続財産であるお墓が法人とされると、まず、民法第952条第1項により、墓地経営者または墓地管理者が、家庭裁判所に相続財産管理人の選任を請求します。

 このとき、家庭裁判所は相続財産管理人を選任しなければなりません(民法第952条1項)。

家庭裁判所が、相続財産管理人を選任した旨の公告を行う

 墓地経営者または墓地管理者より、相続財産管理人の選任の請求を受けた家庭裁判所は、相続財産管理人を選任したときは、遅滞なくこの旨の公告を行わなければなりません(民法第952条第2項)。

相続財産管理人が、相続債権者および受遺者に対して、一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告する

 家庭裁判所によって選任された相続財産管理人は、公告を通じて相続人を捜索するとともに、相続財産であるお墓の管理にあたることとなります(民法第953条、第27条から第29条)。

 前述の民法第952条第2項による公告があった後二ヶ月以内にお墓の相続人がいることが明らかにならなかったときは、相続財産管理人は、遅滞なく、すべての相続債権者および受遺者に対し、一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければなりません。

 この場合の公告期間は、二ヶ月を下回ることはできません。(民法第民法第957条第1項)。

相続財産管理人が家庭裁判所に請求し、相続人を探すための最後の公告をする

 以上の公告によってもお墓の相続人がいることが明らかでないときは、相続財産管理人が家庭裁判所に請求し、家庭裁判所は「お墓の相続人がいるならば、一定の期間内にその権利を主張すべき旨」を公告しなければなりません。

 この場合の公告期間は、六ヶ月を下回ることはできません。(民法第民法第958条)。

 この公告は、お墓の相続人を探すための「最後の公告」になります。

最後の公告期間が過ぎると、お墓の相続人の不存在が確定する

 以上の期間内にお墓の相続人としての権利を主張する者がいないときは、その後に現れた相続人は権利を行使できなくなります(民法958条の2)。

 これによって「お墓の相続人の不存在」が確定することになります。

墓地管理者が申立人、墓地経営者を相手方として、墳墓の祭祀承継者を墓地経営者とする審判を家庭裁判所に申し立てる

 以上により、「お墓の相続人の不存在」が法律上確定しました。

 引き続き、今度は民法第897条第2項により、墓地管理者が申立人、墓地経営者を相手方として、墳墓の祭祀承継者を墓地経営者とする審判を家庭裁判所に申し立てます。

 もちろん、審判は家庭裁判所が行うことですのでその結果を断定することはできませんが、以上の流れで行ってきた場合、家庭裁判所は墳墓の祭祀承継者を墓地経営者とする審判をする蓋然性が極めて高いと考えられます。

 このとき、「お墓の所有権」という民法上の問題は、墓地経営者が所有権者となっていますのでクリアされます。

 これにより、法律上、何の問題も無く、無縁墓の墓石の解体撤去工事や、無縁となった墓地の整地工事ができます。

 なお、この場合、行政法上の改葬許可について無縁墳墓改葬申請ではなく、自らのお墓の改葬であるとして通常の改葬許可申請をする法律構成も考えられます。

 この法律構成もできると思いますが、「お墓の中にあるご遺骨」と「墳墓・墓石・墓地などの所有権」が別ものであることが問題の出発点ですので、お墓の中にあるご遺骨の改葬については、無縁墳墓改葬による方が良いように考えます。

 いかがだったでしょうか、法律、特に民法の知識が無い方には難しい内容だったと思います。

 とりあえず、法律、民法の規定により、家庭裁判所の助力を得て、法律上問題なく、無縁墳墓改葬、無縁となった墓地の整理ができることをご理解いただければと思います。

無縁墳墓改葬で、お墓の相続人調査の意味

 別項でも述べましたが、さくら行政書士事務所としては民法の規定上、お墓の相続人は特定されませんので、無縁墳墓改葬でお墓の相続人調査の意味は極めて乏しいと考えています。

 意味が乏しいお墓の相続人調査を行うならば、無縁墳墓改葬許可申請で行政法上の許可を受けることと、民法の規定による相続人の不存在の家庭裁判所の利用によって当事者間の民事上の法律関係を解決する方が問題が生じることがないと考えます。

 デメリットとしては、お墓のご住職や霊園の管理者の方がご自身で行うことがまず不可能となることです。

 しかし、無縁墳墓改葬、無縁墓の整理は極めて難易度の高いものですし、後の法律上のトラブルになるリスクを考えると、法律専門職にご依頼されることを強くお勧めする場面です。

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