期限付きお墓

 改葬、墓じまい後のご供養として、期限付きのお墓を建てて、そこにお墓を引っ越しする、という在り方も出てきました。

 このような「期限付きお墓」というのは、ここ数年で新しく見かけるようになった新しいスタイルです。

 このページでは、「期限付きお墓」について専門の行政書士がご紹介します。

期限付きお墓の概略

 以前は無かったものですが、「期限付きのお墓」というスタイルも見かけるようになりました。

 見かけるようになってまだ数年、かなり新しいスタイルだと思います。

 具体的には、普通に建墓するけれど、決まった期限、例えば「建墓して32年」になったら、お寺や霊園の墓地管理者が墓石を解体撤去し、お墓を更地にして、ご納骨されているご遺骨はお寺や霊園にある永代供養墓に合祀する、といったものが典型です。

 「建墓するときに、将来の決まった時期に改葬することの予約をセットにしたお墓」「建墓費用に、将来の改葬のための墓石の解体撤去費用や、合葬墓での永代供養費用も含んだお墓」というイメージです。

 一般的には、墓石はなるべく長持ちして、劣化することのない石材が求められ、そのような石材は高価になります。

 ところが、期限付きのお墓だと、例えば「33年もてばいい」というレベルの石材でお墓が建てられますから、劣化を気にせず比較的安価な石材で建墓することができます。

 このスタイルのお墓の最大のメリットは、「従来からの石のお墓が欲しいが、将来、お墓の後継者がいなくなることが確実な場合でも、安心して建墓できること。」でしょう。

 お墓の後継者がいなくなることを前提に、お寺や霊園が墓石を処分して、ご遺骨は永代供養墓に合祀してくれる、ということならばお墓の未来を心配する必要がありません。

期限付きお墓の注意点

 まず法律的な注意点としては、同じお寺内や同じ霊園内のご遺骨の移動であっても、法律上の「改葬」に該当しますから、将来の墓石の解体撤去、永代供養墓へのご遺骨の移動の際も改葬許可申請が必要であるということです。

 さくら行政書士事務所が改葬、墓じまいで携わった期限付きお墓で、このことについて全く考慮していない霊園がありました。

 これは推測に過ぎませんが、霊園に墓地埋葬法の正確な法律知識をもった方がいなかったものだと思います。

 将来の改葬許可申請についても準備しておかないと、いざ契約期間が経過したとなっても、改葬、墓じまいができないことになってしまいます。

 このように、「期限付きお墓」と契約する場合には、将来の改葬、墓じまいが適切に行える契約形態になっているかを十分に注意する必要があります。

 さくら行政書士事務所では、お寺や霊園の顧問や墓地使用契約書、墓地使用規則の作成なども業務としていますので、期限付きお墓の計画を相談される場合もあります。

期限付きお墓の法律的な整理

 適切な法律構成は2つ考えられます。

墓地使用者を建墓する人にするパターン

 一つ目は「墓地使用者」、簡単なことばで言えば「お墓の所有者」を、「建墓する人」にするパターンです。

 一般的な感覚から言っても、お墓を建てる方は「自分のお墓」と考えるでしょうから、こちらの方が一般的な感覚に沿っています。

 この場合には、将来の改葬、墓じまいの場面、例えば32年後の改葬、墓じまいをする場面で、お寺や霊園が「他人のお墓」を改葬、墓じまいすることになります。

 このとき、いわゆる「無縁墳墓改葬」として行う方法もありますが、かなり手続きが大変になります。

 そこで、予め「改葬承諾書」を得ておくことが簡便です。

 法律の条文を確認しましょう。


墓地、埋葬等に関する法律施行規則(1948年(昭和23年)厚生省令24号)

第2条第2項
 前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
第2号
 墓地使用者等以外の者にあつては、墓地使用者等の改葬についての承諾書又はこれに対抗することができる裁判の謄本

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=323M40000100024#11

 法律的には、期限付きお墓の契約時にこの「改葬承諾書」を得ておくのが簡便です。

 ただ、この条文が予定する「改葬承諾書」は、もちろん、改葬を承諾する墓地使用者が生存していることを当然の前提にしています。

 「32年前の改葬承諾書」、しかも、その承諾書を作成した墓地使用者は亡くなっている場合の改葬承諾書の有効性については明確な基準がありません。

 これについては、墓地のある自治体、市区町村との事前の交渉、相談が不可欠です。

 少なくとも、墓所の使用契約書に使用権の末期を明示しておき、それを了解した改葬承諾書にすることは必須でしょう。

墓地使用者をお墓や霊園にするパターン

 二つ目は「墓地使用者」をお寺や霊園にしておくパターンです。

 この場合の将来の改葬、墓じまいはあくまでも「自己の使用するお墓」からの改葬、墓じまいになるので、改葬承諾書の問題は発生しません。

 こちらの方が法律構成はすっきりしますが、最初の契約時に「墓地使用者」はお寺や霊園になることをしっかりと説明することが必要です。

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