このページでは、墓地埋葬法における死産についてご説明しています。
せっかくこの世に恵まれた命でも、残念ながらお母さんの身体から生まれる前に亡くなってしまうことがあります。
医学、産婦人科学の進歩とともにこのような死産は減少していますが、それでもゼロにすることはできません。
お母さんの身体の中で亡くなってしまったとしても、芽生えた命です。
墓地埋葬法がこのような「死産」についてどのように扱っているかについて、改葬、墓じまいが専門の国家資格者である行政書士が詳細にご説明します。
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墓地埋葬法の「死体」の定義
妊娠満12週
墓地埋葬法は、妊娠満12週未満の胎児については「死体」に該当しないとして、法律の対象から除外しています。
条文を見てみましょう。
墓地、埋葬等に関する法律(1948年(昭和23年)法律第48号)
第2条第1項
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=323AC0000000048#3
この法律で「埋葬」とは、死体(妊娠四箇月以上の死胎を含む。以下同じ。)を土中に葬ることをいう。
墓地埋葬法では「死体」の定義に「妊娠四箇月以上の死胎を含む。」としています。
この条文は反対解釈され、「妊娠四箇月未満の死胎」は墓地埋葬法の「死体」に含まれず、墓地埋葬法の適用から除外されます。
なお、墓地埋葬法が制定された1948年(昭和23年)当時は妊娠期間の算定方式を「妊娠月数翌月」としていました。
その後、1978年(昭和53年)に「出生証明書の様式等を定める省令の一部を改正する省令」、「死産届書,死産証書及び死胎検案書に関する省令の一部を改正する省令」、「人口動態調査令施行細則の一部を改正する省令」が公布され、1979年(昭和54年)1月1日より全ての法令で「妊娠週数満○週」に改正されました。
これにより、墓地埋葬法の「妊娠四箇月以上」の規定は「妊娠満12週以上」に読み替えられることになりました。
ですから、墓地埋葬法の対象となるのは「妊娠満12週以上の死胎を含む。」こととなり、「妊娠満12週未満の死胎」は墓地埋葬法の「死体」に含まれず、墓地埋葬法の適用から除外されます。
妊娠満12週未満で亡くなった胎児については墓地埋葬法の対象外となり、改葬許可申請は必要ありません。
かなりの極論ですが、妊娠満12週未満で亡くなった胎児については許可を受けた墓地以外に遺体を埋めても、墓地埋葬法上の問題はありません。
もちろん、人工妊娠中絶などの問題はありますし、地方自治体が人工妊娠中絶後の胎児の扱いについて定めていますので適法行為とは限りません。
あくまでも「墓地埋葬法上は、問題はない。」ということに止まります。
実際には、妊娠満12週未満で亡くなった胎児については「医療廃棄物」として廃棄されることが大半で、適用される法令は「廃棄物処理法」になります。
なお、さくら行政書士事務所では、命を授かった人間を「廃棄物」とすることには賛成できません。
「妊娠満12週以上」の定義は産婦人科医学の計算に従うものとされています。
具体的には1月間を28日間として計算し、「28×3+1」日目である85日目以上を「妊娠満12週以上」とします。
85日未満で亡くなった胎児は墓地埋葬法の対象外となります。
なお、これは墓地埋葬法の規定ではありませんが、妊娠12週以降は死産届を提出する必要があります。
改葬、墓じまいで胎児は珍しくありません
改葬、墓じまいの実務をしていると、生まれる前に亡くなった胎児がお墓の中に納められている事例も珍しくありません。
もちろん、現在でも妊娠、出産は女性にとって命がけのものですし、生まれる前に亡くなるお子さんもいます。
産婦人科学が現在より発達していなかった時代のお墓には、生まれる前に亡くなった胎児も多く納められています。
胎児と改葬許可申請
墓地埋葬法を厳密に適用すると、お墓の中の胎児を「妊娠満12週未満で亡くなった胎児」と「妊娠満12週以上で亡くなった胎児」で分類し、「妊娠満12週以上」で亡くなった胎児だけを改葬許可申請して、「妊娠満12週未満」で亡くなった胎児については改葬許可申請しないことも適法です。
ですが、さくら行政書士事務所では、胎児についても、亡くなった日数に関わらず、全て改葬許可申請することにしています。
亡くなった胎児のお父さん、お母さんにとって「妊娠満12週未満」と「妊娠満12週以上」で分類することに意味は無いと考えます。
生まれることのできなかった命ですが、書類の記録だけでも存在を残してあげたいとさくら行政書士事務所では考えています。
なお、死産した胎児の場合、お墓に入っているうちにご遺骨が溶けて、失われていることがほとんどです。
もちろん、さくら行政書士事務所は医学の専門家ではありませんが、胎児のご遺骨はまだしっかり組織化されていないので、お墓の中にいる間に溶けて失われてしまうことがほとんどなのだと思います。
なおさら、書類の記録だけでも存在を記録してあげたいと思います。
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