改葬、墓じまいに関する用語の定義

 このページでは、改葬、墓じまいなどに関する用語の定義、意味について、専門の国家資格者である行政書士がご説明しています。

 改葬、墓じまいを行う場合には、法律用語も多く出てきます。

 中には、「法律用語」と「一般用語」とで意味が異なっている場合もあります。

 改葬、墓じまいは法律に従って行われるものですから、法律用語の正確な意味を理解する必要があります。

 普段、法律用語を使わない方には少しなじみにくいかもしれませんが、このページで正確な法律用語をつかんでいただければと思います。

改葬、墓じまいに関する用語は「墓地埋葬法」で法的に定義されています

 改葬、墓じまいには多くの用語が出てきますが、基本となることば、用語については「墓地、埋葬等に関する法律」(1948年(昭和23年)法律第48号)(省略して「墓地埋葬法」、さらに省略して「墓埋法」と呼ばれることが多いです。)で定義されています。

 まずは、墓地埋葬法における用語の定義をしっかりと確認しましょう。

 似たような言葉も多く、混乱、誤解しやすいですが、法律において定義を正確に使用することは最も基本となることです。

 ここで覚えていただければと思います。

「埋葬」と「火葬」と「埋蔵」と「収蔵」

 最初に最も混乱しやすい、そして誤解しやすい、「埋葬」と「火葬」と「埋蔵」と「収蔵」について確認します。

「埋葬」とは“土葬”のことである

 墓地埋葬法で「埋葬」という言葉は、一般的な用語の「土葬」のこととして定義されています。

 墓地埋葬法の条文を見てみましょう。

「墓地、埋葬等に関する法律」(1948年(昭和23年)法律第48号)

第2条第1項
 この法律で「埋葬」とは、死体(妊娠四箇月以上の死胎を含む。以下同じ。)を土中に葬ることをいう。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=323AC0000000048#3

 墓地埋葬法において「埋葬」とは「死体を土中に葬ること」、一般用語における「土葬」のことを定義していることが明確にわかります。

 法律用語の「埋葬」は「土葬」、逆に言うと一般用語の「土葬」のことを法律用語では「埋葬」と呼んでいることがわかりました。

「火葬」は一般的な用語のとおり

 これに対して「火葬」は一般的な用語のとおりです。

 墓地埋葬法の条文を見てみましょう。

「墓地、埋葬等に関する法律」(1948年(昭和23年)法律第48号)

第2条第2項
 この法律で「火葬」とは、死体を葬るために、これを焼くことをいう。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=323AC0000000048#3

 私見ではこの「火葬」の定義はどうしても生々しいというか、尊厳が感じられずに好きになれないのですが、「法律で定義する」ということになったらこのような表現にならざるを得ないのでしょう。

 「火葬」については法律用語と日常用語が同じ意味で使われていることがわかります。

 これについては特に説明は要らないかと思います。

「埋蔵」とは火葬したご遺骨をお墓に納めること

 「埋蔵」とは火葬したご遺骨をお墓に納めることを言います。

 「埋蔵」は最も一般的な形態ですが、墓地埋葬法では直接定義されておらず、間接的な定義になっています。

 墓地埋葬法の条文を見てみましょう。

「墓地、埋葬等に関する法律」(1948年(昭和23年)法律第48号)

第2条第4項
 この法律で「墳墓」とは、死体を埋葬し、又は焼骨を埋蔵する施設をいう。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=323AC0000000048#3

 間接的な定義ですが、焼骨、つまり火葬されたご遺骨については「埋蔵」するものであることがわかります。

「収蔵」とは火葬したご遺骨を納骨堂に入れること

 「収蔵」とは火葬したご遺骨を納骨堂に入れることを言います。

 収蔵は二番目に多い形態ですが、墓地埋葬法ではこれも直接定義されておらず、間接的な定義になっています。

 墓地埋葬法の条文を見てみましょう。

「墓地、埋葬等に関する法律」(1948年(昭和23年)法律第48号)

第2条第6項
 この法律で「納骨堂」とは、他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設をいう。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=323AC0000000048#3

 これも間接的な定義ですが、焼骨、つまり火葬されたご遺骨について納骨堂に入れることは「収蔵」であることがわかります。

「埋葬」と「火葬」と「埋蔵」と「収蔵」を整理

 以上の、「埋葬」と「火葬」と「埋蔵」と「収蔵」を整理します。

  • 埋葬…死体を土中に葬ること。日常用語における、いわゆる「土葬」に相当する。
  • 埋蔵…火葬したご遺骨をお墓に納めること。
  • 収蔵…火葬したご遺骨を納骨堂に入れること。
  • 火葬…死体を葬るために、これを焼くこと。

 特に「埋葬」「埋蔵」「収蔵」については定義を誤らないように気をつけましょう。

 例えば、うっかり改葬許可申請書に故人を「埋葬」していると記入したら、故人を「土葬」している意味の申請書になってしまいます。

 この内容の改葬許可申請書に基づいて「埋葬している故人の改葬を許可する、」という改葬許可証が発行されたら「土葬されている故人を改葬することができる。」という内容の許可証になってしまいます。

 特に改葬許可申請書には「埋葬または火葬の場所」を記載して申請することになっていますが、この欄にお寺や霊園を記入してしまったら、「お寺や霊園に埋葬されている故人の改葬」、つまり、「お寺や霊園に土葬されている故人の改葬」の申請書になってしまいます。

 これに基づいて、「お寺や霊園に土葬されている故人の改葬」許可証が交付されても、火葬されているご遺骨を改葬することはできません。

 「埋葬」「埋蔵」「収蔵」は名前が似ていて誤りやすいですが、内容を間違えないように注意しましょう。

一次葬、二次葬、三次葬

 墓地埋葬法の用語ではありませんが、ここで「一次葬」、「二次葬」、「三次葬」という用語をご説明します。

一次葬

 一次葬とは、亡くなった故人のご遺体の処理に関する葬法における一段階目の過程を言います。

 わかりやすく言えば、亡くなった故人のご遺体を葬る最初の過程です。

 墓地埋葬法で認められている一次葬の方法は原則として二つだけ、「埋葬」(土葬)と「火葬」です。

 世界の宗教は多様ですので、水葬や鳥葬もありますが、日本では行うことはできません。

二次葬

 二次葬とは、亡くなった故人のご遺体の処理に関する葬法における一段階目の過程を言います。

 一次葬が埋葬(土葬)であった場合にはご遺体を葬る過程はそれで終了していますので二次葬はありません。

 一次葬が火葬であった場合には、火葬された焼骨、ご遺骨を葬る二段階目の過程が必要になります。

 最も多いのは、お墓に納める埋蔵と、納骨堂に入れる収蔵でしょう。

 この他、近年では二次葬の在り方が多様化していますので、散骨や樹木葬などもあります。

三次葬

 三次葬とは、亡くなった故人のご遺体の処理に関する葬法における一段階目の過程を言います。

 二次葬で完了することが多いのですが、改葬する場合、墓じまいしてお墓を引っ越す場合、また、永代供養墓や合葬墓に祀り方を変える場合などを三次葬と呼びます。

「墓地」と「墳墓」と「納骨堂」

 「墓地」と「墳墓」も誤りやすい言葉です。

 特に「墳墓」はあまり日常生活で使わないのでイメージが湧きにくいかもしれません。

 また、納骨堂という施設もあります。

「墳墓」とは死体を埋葬し、または焼骨を埋蔵する施設

 「墳墓」とは死体を埋葬し、または焼骨を埋蔵する施設を言います。

 上で確認したように「埋葬」はいわゆる「土葬」のことでしたから、「墳墓」とは死体を土葬し、または焼骨を埋蔵する施設、と言い換えられます。

 墓地埋葬法の条文を見てみましょう。

「墓地、埋葬等に関する法律」(1948年(昭和23年)法律第48号)

第2条第4項
 この法律で「墳墓」とは、死体を埋葬し、又は焼骨を埋蔵する施設をいう。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=323AC0000000048#3

 一般的な用語で言うと、墓地にあるそれぞれの各自の石のお墓、例えば「○○家の墓」のようなものが「墳墓」です。

「墓地」とは、墳墓を設けるために許可を受けた区域

 「墓地」とは、墳墓を設けるために許可を受けた区域を言います。

 上で確認したように「墳墓」とはそれぞれの各自の石のお墓、例えば「○○家の墓」のようなものですから、こういったそれぞれの個別のお墓を作るための区域、と言い換えられます。

 墓地埋葬法の条文を見てみましょう。

「墓地、埋葬等に関する法律」(1948年(昭和23年)法律第48号)

第2条第5項
 この法律で「墓地」とは、墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事(市又は特別区にあつては、市長又は区長。以下同じ。)の許可を受けた区域をいう。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=323AC0000000048#3

 一般的な用語で言うと、お寺や霊園のお墓が並んだ区域が「墓地」です。

 ただし、お墓そのものが建っている区域以外でも、墓地経営に必要、または付帯する施設、例えば、駐車場、管理事務所、芝生、休憩所などは、墓地と同ーの敷地内にあり、管理上、また社会通念からみても一体の施設とみられるものは、「墓地」の区域内に含まれるとされます。

「納骨堂」とは、他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために、許可を受けた施設

 「納骨堂」とは、他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために、許可を受けた施設を言います。

 墓地埋葬法の条文を見てみましょう。

「墓地、埋葬等に関する法律」(1948年(昭和23年)法律第48号)

第2条第6項
 この法律で「納骨堂」とは、他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設をいう。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=323AC0000000048#3

 納骨堂は日常用語と同様の定義だと言えるでしょう。

「納骨堂」の三要件

 納骨堂についての条文を読むと、納骨堂の要件として3つの要素があることがわかります。

  1. 他人の委託をうけること。
  2. 焼骨を収蔵するためのものであること。
  3. 都道府県知事の許可を受けていること。

 この三つの要件について検討します。

他人の委託をうけること。

 他人の委託を受けることが必要ですので、自分が所有する焼骨を自宅などに安置しておく場合には、当該自宅などは納骨堂には該当しないことになります。

 ただし、これはあくまでも自宅で安置すること、自宅に置いておくことが必要です。

 自宅にご遺骨を納めるための施設を設けた場合は、その施設は「墳墓」になります。

 「墳墓」は許可を受けた「墓地」にしか設置できませんので、自宅に「墳墓」を作ることはできません。

 あくまでもご遺骨を自宅に安置しておく、置いてある場合に限って「墳墓」にも「納骨堂」にも該当せず、認められることになります。

 手元供養と呼ばれる、自宅でご遺骨を供養する方式が適法なのは「自宅にご遺骨を安置すること」が前提です。

焼骨を収蔵するためのものであること。

 ここで「収蔵」とは、焼骨を収める方法の中で、施設に入れる「埋蔵」以外のすべての方法を指すものです。

 ですから、例えばお寺や霊園などでご遺骨を預かる場合も「収蔵」に該当することになり、納骨堂としての許可を受けることが必要となります。

都道府県知事の許可を受けていること

 納骨堂として使用するには、都道府県知事の許可を受けることが必要です。

「預骨」という概念は法律上認められていません

 ごくごく一部の事業者が、「預骨」というビジネスを行っていることがあります。

 これは「納骨堂ではない、あくまでも一時的にご遺骨を預かるものだ」という主張ですが、「預骨」という概念は法律上認められていません。

 上で見たように、「他人の委託をうけること。」「焼骨を収蔵するためのものであること。」の要件を満たす場合には納骨堂として都道府県知事の許可を受けなければ違法な施設となります。

 一部の事業者が「預骨」というビジネスを行っていることがありますが、自治体や警察の摘発を受け、中止を命じられる事案が散見されます。

 「預骨」という概念は法律上認められていませんのでくれぐれもご注意ください。

 さくら行政書士事務所にも「預骨ビジネスをやりたい」というご相談をいただくことがあります。

 これは、お寺などの宗教法人ではない一般の株式会社などが「ご遺骨を預かる事業を行いたい、ご遺骨を保管する事業を行いたい。」とのご相談です。

 申し訳ございませんが、このような「預骨」という事業は違法行為になります。

改葬の法律上の定義

 次に「改葬」の法律上の定義を確認します。

「改葬」とは、埋葬した死体を他の墳墓に移し、または埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓または納骨堂に移すこと

 「改葬」とは、埋葬した死体を他の墳墓に移し、または埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓または納骨堂に移すことを言います。

 墓地埋葬法の条文を見てみましょう。

「墓地、埋葬等に関する法律」(1948年(昭和23年)法律第48号)

第2条第3項
 この法律で「改葬」とは、埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すことをいう。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=323AC0000000048#3

 厳密に分析すると、改葬は、土葬されたご遺体と、火葬された焼骨の二つのパターンを規定していることがわかります。

土葬の場合の改葬

 まず、「埋葬した死体を他の墳墓に移し」の部分が土葬の場合の規定です。

 一般用語に置き換えると「土葬した遺体を他のお墓に移す」のが土葬されているご遺体の改葬です。

火葬の場合の改葬

 次に、「埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移す」の部分が火葬された焼骨、ご遺骨の場合の規定です。

 一般用語に置き換えると「火葬されてお墓に入っているか、納骨堂に入っている焼骨、ご遺骨を、他のお墓か納骨堂に移す」のが火葬された焼骨、ご遺骨の改葬です。

同じ墓地内の違うお墓に移す場合も「改葬」に該当する

 土葬の場合も火葬の場合も、「他の墳墓または納骨堂に移すこと」が改葬であると定義されています。

 上で見たように、「墳墓」とは墓地の中にあるそれぞれのお墓のことでした。

 ですから、同じ墓地内であっても、「他の墳墓または納骨堂に移す」場合は改葬に該当することがわかります。

 「同じ墓地の中ならば、改葬には該当しないだろう」ということが誤りであることがわかります。

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